マンジャロとトルリシティはどちらも週1回の注射で使用するお薬であり、2型糖尿病の治療やダイエット目的で処方されることが増えています。
見た目の投与方法は似ていますが、作用する仕組みが大きく異なり、体重減少効果や副作用の出方にも違いがあります[1][2]。
「マンジャロとトルリシティはどちらが自分に合っている?」「トルリシティからマンジャロに切り替えたいけど大丈夫?」と迷っている方は多いのではないでしょうか。
マンジャロはGIPとGLP-1の2つの受容体に同時に作用する新しいタイプのお薬で、トルリシティはGLP-1受容体のみに作用する実績豊富なお薬です[1][2]。
この記事では、両方のお薬の作用の仕組み、体重減少効果、血糖改善効果、副作用、用量、費用の違いに加え、トルリシティからマンジャロへ切り替える際の手順と注意点までを網羅的に解説しています。
自分に合ったお薬を選ぶための判断材料として、ぜひ参考にしてください。
マンジャロとトルリシティの基本情報|それぞれどんなお薬?
マンジャロとトルリシティは、どちらも2型糖尿病の治療薬として開発されたお薬です。
まずはそれぞれの基本的な特徴を整理し、どのような違いがあるのかを確認しましょう。
マンジャロ(チルゼパチド)はGIPとGLP-1の2つに作用するお薬
マンジャロ(一般名:チルゼパチド)は、2023年に日本で発売された比較的新しいお薬です[1]。
最大の特徴は、GIP(グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド)受容体とGLP-1受容体の2つに同時に作用する点にあります[1]。
この2つの受容体に同時に働きかけることで、インスリン分泌の促進、食欲の抑制、胃の排出速度の低下、脂肪蓄積の抑制といった複数の効果が期待できます。
2型糖尿病の治療薬としてPMDAに承認されており、ダイエット目的で処方を受ける場合は自由診療(保険適用外)です。
用量は2.5mg・5mg・7.5mg・10mg・12.5mg・15mgの6段階が用意されており、低い用量から段階的に増やしていく仕組みになっています[1]。
トルリシティ(デュラグルチド)はGLP-1のみに作用するお薬
トルリシティ(一般名:デュラグルチド)は、2015年に日本で承認されたGLP-1受容体作動薬です[2]。
マンジャロとは異なり、GLP-1受容体のみに作用する「シングルアゴニスト」と呼ばれるタイプのお薬です[2]。
GLP-1受容体に働きかけることで、血糖値が高いときにインスリン分泌を促進し、食欲を穏やかに抑え、胃の動きをゆっくりにする効果が期待できます。
2015年の発売以来、世界中で多くの糖尿病患者に処方されてきた実績があり、長期的な安全性データが蓄積されている点が大きな強みです。
用量は0.75mgの1種類のみであり、マンジャロのように用量を段階的に調整する仕組みはありません[2]。
どちらも週1回の注射タイプで1回使い切り
マンジャロとトルリシティには共通点もいくつかあります。
どちらも週1回の注射で効果が持続するお薬であり、毎日の服用が必要な飲み薬(リベルサスなど)と比べて手間が少ない点が特徴です。
注入器はどちらも1回使い切りのペン型であり、自分で針を交換したり用量を設定したりする手間がかからない設計になっています。
注射部位はお腹、太もも、上腕の裏側のいずれかを選ぶことができ、毎回同じ場所に打たないよう注射部位をローテーションすることが推奨されています[1][2]。
どちらも2型糖尿病に対して保険適用がありますが、ダイエット目的での処方は自由診療となり費用は全額自己負担です。
作用の仕組みの違い|デュアルアゴニストとシングルアゴニストとは
マンジャロとトルリシティの最も大きな違いは、体の中でどのように作用するかという「仕組み」の部分にあります。
ここではそれぞれの作用の仕組みを分かりやすく整理します。
マンジャロはGIP受容体とGLP-1受容体の両方に作用する(デュアルアゴニスト)
マンジャロは、GIP受容体とGLP-1受容体の2つに同時に作用する「デュアルアゴニスト」と呼ばれるタイプのお薬です[1]。
私たちが食事を摂ると、小腸からGIPとGLP-1という2種類のホルモン(インクレチン)が分泌されます。
GLP-1にはインスリン分泌の促進、食欲の抑制、胃の排出速度の低下といった作用があり、GIPにもインスリン分泌を促す作用があるほか、脂質の代謝や脂肪の蓄積にも関わるとされています。
マンジャロはこの2つのホルモンの受容体に同時に働きかけるため、GLP-1単独のお薬と比べてより強力な食欲抑制効果と体重減少効果が期待できます[1]。
2つの受容体への作用が組み合わさることで相乗的な効果が生まれる点が、マンジャロが「次世代のお薬」と注目されている理由です。
トルリシティはGLP-1受容体のみに作用する(シングルアゴニスト)
トルリシティは、GLP-1受容体のみに作用する「シングルアゴニスト」です[2]。
GLP-1受容体に働きかけることで、血糖値が高いときにインスリンの分泌を促し、血糖値を穏やかに下げる効果が期待できます。
効果が穏やかな分、消化器系の副作用(吐き気・下痢など)が出にくい傾向があり、初めて注射タイプのお薬を使う方にとっては体への負担が少ないという利点があります。
GLP-1受容体作動薬として長年の使用実績があり、安全性に関するデータが豊富に蓄積されている点もトルリシティの強みです。
2つの受容体に作用するマンジャロはより強い食欲抑制と体重減少が期待できる
両方のお薬の仕組みを比較すると、マンジャロの方がより多角的に体に働きかけることが分かります。
GIP受容体への作用が加わることで、GLP-1単独では得られない追加の効果が期待でき、結果としてより大きな体重減少や血糖改善につながる可能性があります。
研究においても、マンジャロはGLP-1受容体作動薬であるオゼンピック(セマグルチド)との比較研究で体重減少効果と血糖改善効果の両方で上回る結果が報告されています。
ただし、効果が強い分だけ副作用も出やすい傾向があるため、「効果の強さ」と「副作用の穏やかさ」のどちらを重視するかによって、どちらのお薬が適しているかは変わってきます。
どちらが自分に合っているかを判断するためには、効果と副作用のバランスを医師と相談しながら検討することが大切です。
体重減少効果の違い|研究データで比較
マンジャロとトルリシティの効果の違いを判断するうえで最も参考になるのが研究データです。
ここでは日本人を対象とした研究結果をもとに、体重減少効果の差を確認します。
SURPASS J-mono研究(日本人対象)でマンジャロはトルリシティを上回る体重減少を示した
日本人の2型糖尿病患者を対象に行われた「SURPASS J-mono研究」では、マンジャロとトルリシティの52週間(約1年間)の効果が直接比較されています。
この研究でのマンジャロ各用量群の体重変化は、5mg群で約-5.8kg、10mg群で約-8.5kg、15mg群で約-10.7kgでした。
一方、トルリシティ0.75mg群の体重変化は約-2.4kgであり、マンジャロの全用量がトルリシティを大きく上回る体重減少を示しています。
最も高い用量(15mg)で比較すると、マンジャロの体重減少幅はトルリシティの約4倍以上という結果です。
体重減少を重視してお薬を選びたい方にとって、マンジャロの方がより大きな効果が期待できるという点は重要な判断材料になります。
マンジャロは用量依存的に体重減少効果が高まる傾向がある
マンジャロの体重減少効果は、用量が高くなるほど大きくなる「用量依存性」が確認されています[1]。
SURPASS J-mono研究でも、5mg→10mg→15mgと用量が増えるにつれて体重減少幅が段階的に拡大しています。
マンジャロは2.5mgから開始し、4週間以上の間隔を空けて段階的に増量していく仕組みであるため、効果を見ながら自分に合った用量を探していくことが可能です[1]。
6段階の用量が用意されているため、「もう少し効果が欲しい」「副作用が気になるので今の用量にとどめたい」といった細かい調整がしやすい点もマンジャロの利点です。
ただし、用量が高くなるほど副作用も出やすくなる傾向があるため、増量は必ず医師の指示に従って慎重に行う必要があります。
トルリシティの体重減少効果は穏やかだが安定した効果が期待できる
トルリシティの体重減少効果はマンジャロと比較すると穏やかですが、GLP-1受容体に安定的に作用することで着実な効果が期待できます。
SURPASS J-mono研究でのトルリシティ0.75mg群の体重変化は約-2.4kgであり、大幅な体重減少ではないものの、52週間にわたって安定した減少が維持されています。
体重を穏やかに減らしながら血糖コントロールを安定させたい方や、急激な体重変化を避けたい方にはトルリシティの方が適している場合があります。
肥満の程度が軽い方や、まずは穏やかな効果から始めたいという方にとっては、トルリシティが有力な選択肢になり得ます。
血糖改善効果(HbA1c)の違い|糖尿病治療としての実力を比較
マンジャロとトルリシティはどちらも2型糖尿病の治療薬として承認されており、血糖値を改善する効果があります。
ここではHbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)の改善データをもとに、両方のお薬の血糖改善効果を比較します。
SURPASS J-mono研究ではマンジャロの方がHbA1c低下幅が大きい傾向
SURPASS J-mono研究では、体重減少と同様にHbA1cの改善効果でもマンジャロがトルリシティを上回る結果が報告されています。
HbA1cは過去1〜2か月間の血糖値の平均的な状態を反映する指標であり、糖尿病のコントロール状態を評価する際に重要な数値です。
研究結果では、マンジャロ5mg群で約-2.4%、10mg群で約-2.8%、15mg群で約-3.0%のHbA1c低下が確認されました。
トルリシティ0.75mg群のHbA1c低下は約-1.4%であり、マンジャロの全用量がトルリシティを上回っています。
血糖コントロールの改善を重視する方にとって、マンジャロはより効果的な選択肢と言えるでしょう。
トルリシティも十分な血糖改善効果があり長期の実績が豊富
トルリシティはマンジャロと比較するとHbA1c低下幅はやや小さいものの、糖尿病治療薬として十分な血糖改善効果を持っています。
2015年の発売以来、世界中で数多くの2型糖尿病患者に処方されてきた実績があり、長期服用における安全性と有効性のデータが豊富に蓄積されています。
トルリシティを用いた大規模研究「REWIND研究」では、心血管イベント(心筋梗塞や脳卒中など)のリスクを低減する効果も報告されており、糖尿病の合併症予防という面でも評価されています。
「長期の安全性データが揃っているお薬を使いたい」「心血管リスクの低減も期待したい」という方にとって、トルリシティは信頼性の高い選択肢です。
血糖コントロールを重視する場合もマンジャロの方が有利とされる
研究データを総合すると、体重減少効果だけでなく血糖コントロールの面でもマンジャロの方が高い効果を示す傾向があります。
マンジャロはGLP-1受容体作動薬であるオゼンピック(セマグルチド)との比較研究(SURPASS-2研究)でも、HbA1c低下幅と体重減少幅の両方で上回る結果が報告されています。
ただし、研究は特定の条件下で行われたものであり、実際の効果には個人差があります。
「データ上はマンジャロの方が優れているが、自分の体に合うかどうかは別の問題」という視点を持ち、医師と相談しながら判断することが重要です。
血糖値と体重の両方を積極的に改善したい方はマンジャロが、穏やかな改善と長期的な安心感を重視する方はトルリシティが向いている傾向があります。
副作用の違い|消化器症状の出やすさを比較
お薬を選ぶ際には、効果だけでなく副作用の出やすさも重要な判断材料です。
ここではマンジャロとトルリシティの副作用の違いを比較します。
どちらも主な副作用は吐き気・下痢・便秘などの消化器症状
マンジャロとトルリシティで報告されている副作用の種類は共通しており、主に消化器系の症状が中心です[1][2]。
吐き気(悪心)、下痢、便秘、腹部膨満感(お腹の張り)、嘔吐、食欲減退などが代表的な副作用として添付文書に記載されています。
多くの場合、副作用は投与開始直後や増量直後に出やすく、体がお薬に慣れるにつれて徐々に軽減していく傾向があります。
どちらのお薬を選ぶ場合も、副作用の出方を医師に報告しながら治療を進めることが大切です。
マンジャロの方が消化器系の副作用が出やすい傾向がある
研究データでは、マンジャロの方がトルリシティよりも消化器系の副作用の発現率が高い傾向が示されています。
SURPASS J-mono研究において、マンジャロ群では吐き気、下痢、嘔吐などの消化器症状の発現率がトルリシティ群を上回りました。
マンジャロはGIP受容体とGLP-1受容体の2つに作用するため、効果が強い分だけ胃腸への影響も大きくなりやすいと考えられています。
特に投与開始直後や用量を増やした直後に副作用が出やすく、体が慣れるまでの数週間は吐き気や食欲減退を感じる方がいます。
副作用が気になる場合は増量のペースを緩やかにするなど、医師と相談しながら自分に合ったペースで治療を進めることが可能です。
トルリシティは副作用が穏やかで初めての方にも使いやすい
トルリシティはマンジャロと比較して、消化器系の副作用が出にくいとされています[2]。
GLP-1受容体のみへの作用であるため、胃腸への影響がマンジャロよりも穏やかであることが背景にあります。
初めて注射タイプのGLP-1関連のお薬を使う方や、胃腸が弱い方、副作用に不安がある方にとっては、トルリシティから始める方が体への負担が少ない選択です。
「まずは穏やかなお薬で様子を見てから判断したい」という方には、トルリシティが向いていると言えるでしょう。
重大な副作用(急性膵炎・低血糖など)はどちらも注意が必要
消化器症状以外にも、マンジャロとトルリシティにはどちらも注意すべき重大な副作用が報告されています[1][2]。
急性膵炎は両方のお薬の添付文書に重大な副作用として記載されており、嘔吐を伴う持続的な激しい腹痛がある場合は速やかに医療機関を受診する必要があります[1][2]。
低血糖についても注意が必要です。
どちらのお薬も血糖値が高いときにのみインスリン分泌を促す仕組みであるため、単独での低血糖リスクは比較的低いとされていますが、他の糖尿病治療薬(SU薬やインスリンなど)と併用している場合はリスクが高まります[1][2]。
体調の変化を感じた場合は自己判断せず医師に相談してください。
用量の違い|選べる用量の幅を比較
マンジャロとトルリシティでは、選べる用量の幅に大きな違いがあります。
用量の選択肢は効果と副作用のバランスを取るうえで重要なポイントです。
マンジャロは2.5mg・5mg・7.5mg・10mg・12.5mg・15mgの6段階
マンジャロには2.5mg・5mg・7.5mg・10mg・12.5mg・15mgの6段階の用量が用意されています[1]。
最低用量の2.5mgから開始し、4週間以上の間隔を空けて段階的に増量していくのが基本的な使用の流れです[1]。
2.5mgは体をお薬に慣れさせるための導入量であり、維持用量としては5mg以上が一般的です。
6段階という細かい用量設定により、「効果をもう少し強くしたい」「副作用が出たため一つ下の用量に戻したい」といった柔軟な調整がしやすい設計になっています。
体格や体質、治療の目的に応じてきめ細かく用量を調整できることは、マンジャロの大きな利点の一つです。
トルリシティは0.75mgの1用量のみ
トルリシティの用量は0.75mgの1種類のみです[2]。
マンジャロのように用量を段階的に調整する仕組みはなく、最初から治療用量の0.75mgで開始します[2]。
「毎回同じ用量を週1回注射するだけ」というシンプルさは、複雑な調整が苦手な方や治療をできるだけ簡単に進めたい方には魅力的です。
ただし、トルリシティで効果が不十分な場合に用量を増やすという選択肢がないため、より強い効果を求める場合はマンジャロなど他のお薬への切り替えを検討する必要があります。
効果に物足りなさを感じた場合の次のステップとして、マンジャロへの切り替えを医師と相談することが一般的な対応です。
用量の細かい調整ができるマンジャロは効果と副作用のバランスを取りやすい
用量の選択肢という点では、マンジャロの方がトルリシティよりも圧倒的に柔軟性が高いと言えます。
「効果は十分だが副作用が気になる」という場合には一つ下の用量に戻すなどの微調整ができるため、治療の目的に応じた個別対応がしやすい設計です。
用量調整の柔軟性を重視する方はマンジャロ、シンプルさを重視する方はトルリシティが向いていると言えるでしょう。
費用の違い|保険適用と自由診療の場合を比較
マンジャロとトルリシティを選ぶ際に、費用面の違いも重要な検討材料です。
ここでは保険適用の場合と自由診療の場合に分けて、費用の違いを確認します。
どちらも2型糖尿病の治療では保険適用が可能
マンジャロとトルリシティはどちらも2型糖尿病の治療薬としてPMDAに承認されており、医師が2型糖尿病の治療として必要と判断した場合は保険適用で処方を受けることが可能です[1][2]。
保険適用の場合は自己負担額が1〜3割となり、全額自己負担の自由診療と比べて経済的な負担は大幅に軽減されます。
保険適用で処方を受けるためには、糖尿病の診断を受けていること、食事療法や運動療法を行ったうえで効果が不十分であることなど、一定の条件を満たす必要があります。
保険適用の可否は医師の判断によるため、まずは受診先の医療機関で保険適用の対象になるかどうかを確認してください。
ダイエット目的の場合はどちらも自由診療(全額自己負担)
マンジャロもトルリシティも、ダイエット(肥満治療)を目的として処方を受ける場合は保険適用外の自由診療となり、費用は全額自己負担です。
自由診療の場合、お薬代に加えて診察料や処方料、血液検査料などがかかるため、保険適用と比べて経済的な負担は大きくなります。
自由診療の費用は医療機関ごとに自由に設定できるため、同じお薬でもクリニックによって金額が異なります。
費用だけで判断するのではなく、定期的な血液検査や副作用への対応体制が整った医療機関を選ぶことが安心して治療を続けるためのポイントです。
マンジャロの方がトルリシティよりも費用は高い傾向がある
一般的に、マンジャロの方がトルリシティよりも1回あたりの費用が高い傾向があります。
マンジャロは新しいお薬であり、GIP/GLP-1受容体の2つに作用するという独自の仕組みを持つため、お薬の単価がトルリシティよりも高く設定されています。
トルリシティは2015年発売と歴史が長く、お薬の単価はマンジャロよりも抑えめであるため、費用面ではトルリシティの方が継続しやすいと言えます。
費用を抑えながら治療を始めたい方はトルリシティから開始し、効果が不十分な場合にマンジャロへの切り替えを検討するというアプローチも現実的な選択肢です。
トルリシティからマンジャロへの切り替え|手順と注意点
トルリシティを使用中の方がマンジャロへの切り替えを検討するケースは年々増えています。
ここでは切り替えを検討するタイミングと具体的な手順、注意点を解説します。
切り替えを検討する主なケース(体重減少効果が不十分、血糖コントロールが不十分)
トルリシティからマンジャロへの切り替えが検討される代表的なケースは以下のような場合です。
トルリシティを一定期間服用しても体重減少効果が十分に得られない場合は、マンジャロに切り替えることでより大きな体重減少が期待できます。
血糖コントロールが目標値に達しない場合も、マンジャロの方がHbA1c低下幅が大きい傾向があるため、切り替えの検討材料になります。
BMIが高く大幅な減量が必要な方や、体脂肪の蓄積が気になる方にもマンジャロが向いている傾向があります。
一方で、トルリシティで副作用もなく効果にも満足している場合は、無理に切り替える必要はありません。
「今のお薬で十分か、それとも変えた方がよいか」は、体重・血糖値の推移・副作用の状態を総合的に見て医師と一緒に判断することが大切です。
切り替え時はマンジャロ2.5mgから開始し段階的に増量する
トルリシティからマンジャロに切り替える際は、マンジャロの最低用量である2.5mgから開始するのが原則です[1]。
トルリシティで体がGLP-1の作用に慣れていたとしても、マンジャロはGIP受容体への作用も加わる別のお薬であるため、いきなり高い用量から始めることは副作用のリスクを高めます。
切り替えのタイミングは、トルリシティの次回注射予定日に合わせてマンジャロの注射に切り替えるのが一般的です。
マンジャロ2.5mgを4週間以上服用して体を慣らした後、医師の判断で5mg→7.5mgと段階的に増量していきます[1]。
切り替え後しばらくは体調の変化を丁寧に観察し、気になる症状があれば早めに医師に報告してください。
自己判断での切り替えは禁止|必ず医師に相談する
トルリシティからマンジャロへの切り替えは、必ず医師の指示のもとで行ってください。
「マンジャロの方が効果が高いらしいから、自分で切り替えよう」という自己判断での変更は、思わぬ副作用や体調悪化を引き起こすリスクがあります。
現在の体重・血糖値・HbA1c・腎機能・肝機能・併用薬の状況など、医師が確認すべき項目は多岐にわたります。
持病がある方や複数のお薬を併用している方は、切り替えによって相互作用や副作用のリスクが変わる可能性があるため、特に慎重な判断が求められます。
お薬の選択と切り替えは医師と二人三脚で進めることが、安心して治療を続けるための基本です。
マンジャロとトルリシティに関するよくある質問
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Q1. マンジャロとトルリシティはどちらが痩せますか?
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研究データでは、マンジャロの方がトルリシティよりも大きな体重減少効果が報告されています。
日本人を対象としたSURPASS J-mono研究では、マンジャロ15mg群で約-10.7kgに対し、トルリシティ0.75mg群で約-2.4kgという結果でした。
体重減少を重視する場合はマンジャロが有力な選択肢ですが、効果には個人差があるため医師と相談のうえで判断してください。
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Q2. トルリシティからマンジャロに切り替えると副作用は強くなりますか?
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マンジャロはトルリシティよりも消化器系の副作用が出やすい傾向がありますが、最低用量の2.5mgから開始し段階的に増量することで副作用のリスクを抑えることが期待できます。
トルリシティで副作用がほとんどなかった方でも、マンジャロは作用の仕組みが異なるため新たに副作用が出る可能性があります。
切り替え後は体調の変化に注意し、気になる症状があれば早めに医師に相談してください。
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Q3. マンジャロとトルリシティを同時に使うことはできますか?
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マンジャロとトルリシティの併用は推奨されていません[1][2]。
どちらもインクレチン関連のお薬であり、併用すると消化器系の副作用や低血糖のリスクが高まるおそれがあります。
使用するお薬はどちらか一方を選び、医師の指示に従って使用してください。
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Q4. マンジャロやトルリシティをやめると体重は戻りますか?
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マンジャロやトルリシティをやめると、お薬による食欲抑制効果がなくなるため、食事量が元に戻り体重がリバウンドする可能性があります。
やめた後も体重を維持するためには、服用中に身につけた食事習慣や運動習慣を継続することが重要です。
やめるタイミングや方法については、自己判断せず医師と相談しながら計画的に進めてください。
マンジャロとトルリシティの効果・副作用・費用の比較まとめ
マンジャロとトルリシティはどちらも週1回の注射で使用するお薬ですが、作用の仕組み・効果の強さ・副作用の出やすさ・用量の選択肢・費用に明確な違いがあります。
マンジャロはGIP受容体とGLP-1受容体の2つに作用する「デュアルアゴニスト」であり、トルリシティと比較して体重減少効果と血糖改善効果の両方で上回る研究データが報告されています[1]。
トルリシティはGLP-1受容体のみに作用する「シングルアゴニスト」であり、効果は穏やかですが副作用が出にくく、2015年からの長い使用実績と心血管リスク低減のエビデンスが強みです[2]。
体重を大幅に減らしたい方や血糖コントロールをより積極的に改善したい方にはマンジャロが、副作用の穏やかさや長期的な安心感を重視する方にはトルリシティが向いている傾向があります。
トルリシティからマンジャロへの切り替えを検討する場合は、必ず医師の指示のもとでマンジャロ2.5mgから段階的に開始してください。
どちらのお薬が自分に合っているかは、体重・血糖値・副作用の状態・費用面・治療の目標などを総合的に考慮し、医師と相談しながら判断することが大切です。
不安な点がある場合は自己判断せず、まずは医師に相談しましょう。
参考文献
[1] PMDA「マンジャロ皮下注2.5mgアテオス 添付文書」
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/530471_2499422G1024_1_12
[2] PMDA「トルリシティ皮下注0.75mgアテオス 添付文書」
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/530471_2499412G1025_1_26
※効果・効能・副作用の現れ方は個人差がございます。
※医師の判断によりお薬を処方できない場合があります。