「自分の基礎代謝は平均と比べて高いの?低いの?」と気になったことはありませんか?
結論から言うと、成人男性の基礎代謝量は約1,500kcal、成人女性は約1,150kcalが目安とされています[1]。
一方で、基礎代謝は10代をピークに年齢とともに低下する傾向があります。「以前と同じ食事量なのに太りやすくなった」と感じる方は基礎代謝の変化が関係している可能性があります[2]。
この記事では、基礎代謝の平均値を年齢別・男女別に一覧で整理し、自分の基礎代謝量の計算方法や基礎代謝が低下する原因、効果的に上げる方法まで詳しく解説します。
基礎代謝とは?1日のエネルギー消費に占める割合
体重管理や健康維持を考えるうえで、基礎代謝の仕組みを正しく理解しておくことが大切です。
基礎代謝とは、呼吸や体温の維持、心臓の拍動など、生命活動を支えるために最低限必要なエネルギーのことです。
基礎代謝と活動代謝・食事誘発性熱産生の違い
1日に消費されるエネルギーは「基礎代謝」「活動代謝」「食事誘発性熱産生」の3つに分けられます。基礎代謝は安静にしている状態でも消費されるエネルギーであり、寝ている間も絶えず使われ続けます。
3つのうち基礎代謝が全体の約60%を占め、活動代謝が約30%、食事誘発性熱産生が約10%とされています[1]。とくに運動をしなくても体が自動的に消費するエネルギーがもっとも大きな割合を占めているのです。
基礎代謝を把握しておくと、1日に必要なカロリーの目安がつかみやすくなります。
基礎代謝で消費されるエネルギーの内訳
基礎代謝として消費されるエネルギーは、体のさまざまな臓器や組織で使われています。体重70kgの場合、骨格筋(筋肉)が基礎代謝全体の約22%を消費し、肝臓が約21%、脳が約20%を占めます[2][3]。そして心臓が約9%、腎臓が約8%、脂肪組織が約4%、残りの約16%がその他の器官で消費されています[2][3]。
「筋肉をつければ基礎代謝が上がる」と言われるのは、骨格筋が基礎代謝のなかで大きな割合を占めているためです。一方で、肝臓や脳など内臓の消費エネルギーも合計すると筋肉以上の割合になります。
筋トレだけでなく、バランスのよい食事や規則正しい生活で内臓機能を整えることも、基礎代謝を維持するうえで重要です。
1日の総エネルギー消費量における基礎代謝の重要性
基礎代謝は1日の総エネルギー消費量の約60%を占めるため、体重管理を考えるうえでもっとも重要な要素といえます[1]。基礎代謝量が高い人は安静時にも多くのエネルギーを消費しており、同じ食事量でも太りにくい傾向があります。
逆に、基礎代謝が低下すると消費エネルギーが減り、余剰分が脂肪として蓄積されやすくなるでしょう。食事制限や運動だけでなく、土台となる基礎代謝の状態を把握することが効率的な体重管理の第一歩です。
【年齢別・男女別】基礎代謝の平均値一覧
自分の基礎代謝が平均と比べてどの位置にあるのかを知ることは、食事量や運動量を調整する第一歩になります。
基礎代謝の平均値は、厚生労働省が公表している「日本人の食事摂取基準(2025年版)」の基礎代謝基準値と参照体重をもとに算出できます[1]。年齢が上がるにつれて基礎代謝は低下する傾向があり、男女でも数値に差が生じます[2]。
男性の基礎代謝の平均値(年齢別)
成人男性の基礎代謝量は、18〜29歳で約1,530kcal、30〜49歳で約1,530kcalが目安です[1]。50〜64歳になると約1,480kcal、65〜74歳では約1,400kcal程度まで低下していきます[1]。
基礎代謝のピークは15〜17歳の約1,610kcalとされており[1]、10代後半から緩やかに下がり始めます。20代の男性が「まだ若いから大丈夫」と思っていても、実際には10代と比べてすでに基礎代謝基準値は下がっています。
女性の基礎代謝の平均値(年齢別)
成人女性の基礎代謝量は、18〜29歳で約1,110kcal、30〜49歳で約1,160kcalが目安です[1]。50〜64歳では約1,110kcal、65〜74歳になると約1,080kcal程度まで下がります[1]。
女性は男性に比べて筋肉量が少ない傾向があり、同じ年齢・体重でも基礎代謝量は約200〜300kcal低くなることが一般的です。「男性と同じ量を食べているのに体重が増えやすい」と感じる場合は、この基礎代謝の差が影響していると考えられます。
基礎代謝が年齢とともに低下する理由
基礎代謝が年齢とともに低下する最大の要因は、加齢に伴う筋肉量の減少です[2]。筋肉は基礎代謝全体の約22%を占める組織であり、年齢を重ねるごとに筋肉量が減ると、それに比例して基礎代謝も下がります[1]。
20代と50代の男性を比較すると、基礎代謝量には1日あたり約175kcalの差が生じるとされています[1]。175kcalはおにぎり約1個分に相当し、年齢を重ねても食事量が同じままだと体重増加につながりやすくなります。
年齢による低下を完全に止めることは難しいですが、運動習慣や食事の見直しで低下のスピードを緩やかにすることは期待できます。
自分の基礎代謝量を計算する方法
平均値はあくまで「参照体重の人」を前提にした目安であり、自分自身の体格とは異なる場合があります。
自分の身長・体重・年齢に合った基礎代謝量を知りたい場合は、計算式を使って個別に算出しましょう。
基礎代謝基準値×体重で求める方法
もっともシンプルな計算方法は、厚生労働省が公表している基礎代謝基準値に自分の体重を掛ける方法です[1]。計算式は「基礎代謝量(kcal/日)=基礎代謝基準値(kcal/kg体重/日)×体重(kg)」となります[1]。
基礎代謝基準値は性別と年齢区分ごとに定められており、30〜49歳の男性は22.5、女性は21.5が目安です[1]。30歳の女性で体重が55kgの場合は、21.5×55=1,183kcalと算出できます。年齢と体重さえ分かれば誰でもすぐに目安を把握できる点がこの方法の強みでしょう。
ただし、標準体重から大きく離れている場合は誤差が出やすくなるため、次に紹介する推定式のほうが適しているケースもあります。
国立健康・栄養研究所の式(Ganpuleの式)で求める方法
身長や年齢も反映した、より精度の高い計算をおこないたい場合は、国立健康・栄養研究所の式が適しています。
男性の計算式は「(0.0481×体重+0.0234×身長−0.0138×年齢−0.4235)×1000÷4.186」、女性の場合は「(0.0481×体重+0.0234×身長−0.0138×年齢−0.9708)×1000÷4.186」で求められます[4]。スマートフォンの電卓やWebの自動計算ツールを使えば手間なく算出できるでしょう。
この式はBMI30程度までであれば大きな誤差が生じにくいとされ、標準体重から離れた体格の方にも対応しやすい点が特徴です。
体組成計で測定する方法
自宅に体組成計がある場合は、乗るだけで基礎代謝量の推定値を確認できます。体組成計は体に微弱な電流を流して体脂肪率や筋肉量を推定し、その結果をもとに基礎代謝量を算出する仕組みです。
ただし、体内の水分量や測定のタイミングによって数値が変動しやすい点には注意が必要です。毎日同じ時間帯・同じ条件(起床後、食事前など)で測定するようにすると、より安定したデータが得られるでしょう。
基礎代謝が低下する5つの原因
基礎代謝の平均値を確認して「自分は少し低いかもしれない」と感じた方は、低下の原因を知っておくと対策が立てやすくなります。
基礎代謝が下がる背景には、年齢だけでなく生活習慣や体の状態が深く関わっています。
加齢による筋肉量の減少
年齢を重ねるにつれて筋肉量が減少し、それに伴って基礎代謝も低下していきます[2]。筋肉は基礎代謝全体の約22%を消費する組織であり、筋肉量の変化は基礎代謝に直結します[2]。
加齢自体は止められませんが、適度な運動やたんぱく質の摂取を心がけることで、筋肉量の減少スピードを緩やかにすることは期待できます。若いうちから運動を習慣にしておくと、年齢を重ねてからの基礎代謝の低下を抑えやすくなるでしょう。
過度な食事制限による筋肉の分解
減量を目的として極端に食事量を減らすと、脂肪だけでなく筋肉まで分解されてしまう可能性があります。体は十分なエネルギーが得られない状態が続くと、筋肉中のたんぱく質をエネルギー源として使い始めます。
筋肉が減った結果、基礎代謝が下がり、以前と同じ食事量でも太りやすい体質へと変わってしまうことがあります。無理な食事制限は一時的な体重減少にはつながっても、長期的にはかえって逆効果になりかねません。減量を考える際は、たんぱく質を中心にバランスよく栄養を摂りながら進めることが大切です。
運動不足による筋肉量の低下
日常的に体を動かす機会が少ないと、使われない筋肉は徐々に衰えていきます。デスクワーク中心の生活を送っている方は、意識的に体を動かさなければ筋肉量を維持することが難しい状態です。
「運動する時間がない」と感じる方でも、通勤時に階段を使う・1駅分歩くといった小さな積み重ねで筋肉量の維持は期待できます。日常の活動量を少しずつ増やすだけでも、基礎代謝の低下を防ぐ効果が見込めるでしょう。
不規則な生活やストレスによる自律神経の乱れ
睡眠不足や昼夜逆転の生活が続くと、自律神経のバランスが崩れやすくなります。自律神経は体温調節や内臓の働きをコントロールしており、このバランスが乱れると基礎代謝にも影響を及ぼすことがあります。
慢性的なストレスも交感神経と副交感神経の切り替えを妨げ、代謝機能の低下につながるとされています。規則正しい就寝・起床のリズムを整え、リラックスできる時間を意識的に確保することで改善が期待できるでしょう。
ホルモンバランスの変化
甲状腺ホルモンや女性ホルモンの分泌量が変化すると、基礎代謝に影響が出ることがあります。甲状腺ホルモンは体の代謝を活発にする働きを持っており、分泌量が低下すると基礎代謝も下がりやすくなります。
女性の場合は更年期を迎えると女性ホルモンの分泌が大きく減少し、「急に太りやすくなった」と感じる方も少なくありません。気になる症状がある場合は、自己判断で対処せず医療機関で相談してみると安心です。
基礎代謝を上げる5つの方法
基礎代謝が低下する原因を理解したうえで、次に大切なのは「どうすれば基礎代謝を高められるのか」という具体的な対策です。
基礎代謝は生まれ持った体質だけで決まるものではなく、日々の生活習慣によって変化させることが期待できます。
筋トレで筋肉量を増やす
基礎代謝を上げるうえで効果的とされているのが、筋力トレーニングによって筋肉量を増やすことです。筋肉は安静時でもエネルギーを消費する組織であり、筋肉量が増えるほど基礎代謝量も高まります[2]。
スクワットや腕立て伏せなど自分の体重を使ったトレーニングであれば、自宅でも手軽に始めることができます。週に2〜3回、1回あたり15〜20分程度の筋トレを継続するだけでも、数か月後には変化を実感しやすくなります。
大切なのは短期間で追い込むことではなく、無理のないペースで習慣として続けることです。
たんぱく質を意識して摂取する
筋肉の材料となるたんぱく質を毎日の食事から十分に摂取することが、基礎代謝を高めるための土台になります。たんぱく質が不足した状態で運動を続けても、筋肉の修復や成長が追いつかず、思うような効果が得られにくくなります。
成人の場合、1日あたりのたんぱく質推奨量は男性で65g、女性で50gとされています[1]。毎食に卵1個分やヨーグルト1カップ程度のたんぱく質を追加するだけでも、1日の摂取量を底上げしやすくなります。
体を温める習慣を取り入れる
体温が高い人ほど基礎代謝も高くなる傾向があるとされています[5]。冷えを感じやすい方は、体を内側から温める工夫を日常に取り入れることで基礎代謝の改善が期待できます。
朝起きたときに白湯を1杯飲む、生姜やねぎなど体を温める食材を食事に加えるといった方法が手軽です。入浴時はシャワーだけで済ませず、40℃程度のお湯に10〜15分ほど浸かると体の芯まで温まりやすくなります[6]。体を温めることは基礎代謝の改善だけでなく、血行促進や睡眠の質の向上にもつながります。
良質な睡眠を確保する
睡眠の質が低下すると自律神経やホルモンバランスが乱れ、基礎代謝にも悪影響を及ぼすことがあります。睡眠中は成長ホルモンが分泌され、筋肉の修復や細胞の再生が活発におこなわれます。
睡眠不足が続くと成長ホルモンの分泌量が減少し、筋肉の回復が遅れるだけでなく、食欲を増進させるホルモンの分泌が増えるとも言われています。就寝前のスマートフォンの利用を控える・寝室の照明を暗くするといった工夫で睡眠の質を高めることが期待できるでしょう。
「忙しくて睡眠時間を確保できない」という方も、まずは就寝時刻を30分だけ早める習慣から試してみてください。
日常生活の活動量を増やす
とくに運動の時間を設けなくても、日常生活のなかで体を動かす機会を増やすことは基礎代謝の維持に役立ちます。階段を使う・1駅分歩く・デスクワークの合間に立ち上がってストレッチをするといった小さな積み重ねが効果的です。
こうした日常的な活動によるエネルギー消費は「NEAT(非運動性活動熱産生)」と呼ばれ、1日の消費カロリーに影響するとされています[7]。座りっぱなしの時間が長い方は、30分に1回は立ち上がって軽く体を動かすことを意識してみましょう。
毎日の小さな習慣の変化が、数か月後には基礎代謝の維持として目に見える形であらわれてくるでしょう。
よくある質問
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Q. 基礎代謝が1,200kcalは低いですか?
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成人女性であれば、基礎代謝が1,200kcal前後は平均的な範囲内です。18〜29歳の女性の平均値は約1,110kcal、30〜49歳では約1,160kcalとされており[1]、1,200kcalはやや高めの水準といえます。
一方、成人男性で1,200kcalの場合は平均を下回っている可能性があるため[1]、筋肉量の低下や生活習慣に原因がないか振り返ってみると良いでしょう。
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Q. 基礎代謝が高い人の特徴は?
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基礎代謝が高い人にはいくつかの共通した特徴があります。筋肉量が多いことがもっとも大きな要因であり、日常的に運動習慣がある方は基礎代謝が高い傾向にあるでしょう[2]。
体温が高めで手足が冷えにくいことも特徴のひとつとされています。
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Q. 基礎代謝は年齢とともにどのくらい下がりますか?
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基礎代謝は10代後半をピークに、年齢とともに緩やかに低下していきます[2]。体重70kgの男性を例にすると、20代と50代では1日あたり約175kcalの差が生じます[2]。
1年ごとに見ると4〜5kcalずつ低下していく計算になるため、年齢を重ねるにつれて食事量や運動量を見直すことが大切です。
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Q. 基礎代謝を上げると本当に痩せやすくなりますか?
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基礎代謝は1日の総エネルギー消費量の約60%を占めるため、基礎代謝が高まれば消費カロリーの底上げにつながります[1]。
ただし基礎代謝を上げるだけで大幅に体重が減るわけではありません。バランスのよい食事と適度な運動を組み合わせて取り組むことが望ましいでしょう。
まとめ
基礎代謝とは呼吸や体温維持など生命活動を支えるために最低限必要なエネルギーのことで、1日の総エネルギー消費量のうち約60%を基礎代謝が占めています[1]。
基礎代謝の平均値は年齢や性別によって異なり、成人男性で約1,500kcal、成人女性で約1,150kcalが目安です[1]。基礎代謝は10代後半をピークに年齢とともに低下していくため、「以前と同じ生活なのに太りやすくなった」と感じる方は基礎代謝の変化が関わっている可能性があります。
基礎代謝が低下する原因としては、加齢による筋肉量の減少・過度な食事制限・運動不足・自律神経の乱れ・ホルモンバランスの変化などが挙げられます。
一方で、筋トレによる筋肉量の増加・たんぱく質の摂取・体を温める習慣・良質な睡眠・日常の活動量アップといった方法で基礎代謝を高めることが期待できるでしょう。
まずは自分の基礎代謝量を計算して現状を把握し、気になることがあれば医師に相談してみてください。
※効果・効能・副作用のあらわれ方は個人差がございます。
※医師の判断によりお薬を処方できない場合があります。
参考文献
[1] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/eiyou/syokuji_kijyun.html
[2] 厚生労働省 e-ヘルスネット「加齢とエネルギー代謝」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/food/e-07-002.html
[3] Food and Agriculture Organization, World Health Organization, United Nations University. Human energy requirements. Report of a Joint FAO/WHO/UNU Expert Consultation. Rome: FAO; 2004.
[4] 独立行政法人国立健康・栄養研究所「基礎代謝量の推定」 https://www.nibn.go.jp/eiken/hn/modules/kisotaisya/
[5] Du Bois EF. Basal Metabolism in Health and Disease. Philadelphia: Lea & Febiger; 1924. p311-20.
[6] 厚生労働省 e-ヘルスネット「快眠と生活習慣」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/heart/k-01-004
[7] Levine JA. Non-exercise activity thermogenesis (NEAT). Best Pract Res Clin Endocrinol Metab. 2002;16(4):679-702.