マンジャロ(チルゼパチド)は、GIPとGLP-1の2つのホルモンに作用する週1回の注射薬で、高い体重減少効果が注目されているお薬です。
「実際に何キロ痩せるのか」「自分にも同じ効果が出るのか」は、処方を検討するうえでもっとも気になるポイントでしょう。
臨床試験では用量や投与期間によって5〜20kg以上の体重減少が報告されていますが、被験者の体格や試験条件が異なるため、数字だけを見て判断するのはリスクがあります。
本記事では、用量別・期間別の効果目安から、痩せる仕組み、痩せない場合の原因、副作用、費用、リバウンド対策まで、減量を検討中の方が知っておくべき情報を医療の視点からわかりやすく解説します。
「始める前にひと通り把握しておきたい」という方は、ぜひ最後までお読みください。
マンジャロとは?基本情報をわかりやすく整理
マンジャロは、有効成分チルゼパチドを含む注射薬で、もともとは2型糖尿病の治療を目的に開発されたお薬です。
GIP(グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド)とGLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)の2つの受容体に同時に働きかける世界初の「持続性GIP/GLP-1受容体作動薬」として、国内外で大きな注目を集めています。
週1回の皮下注射で投与でき、使い捨てのペン型注射器を使うため針の付け替えや用量の調整が不要な点も特徴のひとつです。
ここでは、マンジャロの基本的な特徴・用量・保険適用の条件を整理します。
GIPとGLP-1の2つに作用する世界初の注射薬
マンジャロが従来のGLP-1受容体作動薬と大きく異なるのは、GIPとGLP-1の2つのホルモン受容体に同時に作用する点です。
GLP-1には食欲を抑える作用や胃の動きを緩やかにする作用があり、GIPにはインスリン分泌の調整やエネルギー代謝を促す働きがあるとされています。
この2つが組み合わさることで、食欲抑制・血糖コントロール・代謝促進という3方向からのアプローチが期待できるお薬として注目を集めました。
日本では2023年4月に2型糖尿病の治療薬として承認・発売されており、米国ではイーライリリー社が開発した同一成分のゼップバウンドが肥満症治療薬としてもFDA承認を受けています。
リベルサスやオゼンピックといったGLP-1単独のお薬と比べて、体重減少効果が高いとする臨床データが複数報告されている点が、マンジャロ最大の強みといえるでしょう。
2.5mg〜15mgの6段階──用量と増量の流れ
マンジャロには2.5mg・5mg・7.5mg・10mg・12.5mg・15mgの6段階の用量が用意されています。
治療を開始する際はまず2.5mgを週1回注射し、4週間かけて体をお薬に慣らすのが基本的な流れです。
2.5mgはあくまで「導入用量」であり、本格的な効果が期待される「維持用量」は5mg以上とされています。
副作用の状況や体重の変化を確認しながら、医師の判断で4週間ごとに段階的な増量を検討する仕組みです。
一方で、用量が高いほど副作用のリスクも上がるため、むやみに増量するのではなく最小限の用量で効果を引き出すことが理想といえます。
注射部位は腹部・太もも・上腕のいずれかで、毎回少しずつ位置をずらしながら投与するよう指導されるのが一般的でしょう。
減量目的の処方は自由診療(保険適用外)
マンジャロが保険適用となるのは、2型糖尿病の治療目的で処方される場合に限られます。
体重管理や減量を目的とした処方は自由診療の扱いとなり、お薬代・診察料・送料などすべてが全額自己負担です。
保険診療であれば5mgが3割負担で月額約4,600円ほどですが、自由診療の場合は同じ用量でも月額2〜3万円程度が相場となるため、費用面の差は大きく開きます。
加えて、減量目的の服用は国内で承認された適応外にあたるため、万が一重篤な副作用が生じた場合に公的な「医薬品副作用被害救済制度」の対象外となる点も理解しておく必要があるでしょう。
費用や制度上のリスクを把握したうえで、医師と相談しながら治療を始めることが大切です。
マンジャロで何キロ痩せる?用量別・期間別の効果目安
「マンジャロで何キロ痩せるのか」は、処方を検討している方がもっとも知りたい情報でしょう。
結論から述べると、臨床試験では用量に応じて約5〜21kgの体重減少が報告されていますが、試験の対象者や条件によって数字は大きく異なります。
とくに海外試験の被験者は平均体重が100kg以上であり、日本人がそのまま同じ結果を期待するのは現実的ではありません。
ここでは、日本人データと海外データを分けて整理したうえで、期間ごとの変化の目安を解説します。
日本人データ(SURPASS J-mono試験)の体重減少量
日本人の2型糖尿病患者636例を対象に行われたSURPASS J-mono試験では、52週間(約1年)の投与で用量に応じた体重減少が確認されています。
具体的には、5mgで平均−5.8kg、10mgで平均−8.5kg、15mgで平均−10.7kgという結果が報告されました。
ただし、この試験の対象者は糖尿病治療中の患者であり、減量を主目的とした試験ではない点に注意が必要です。
糖尿病がない方が減量目的で服用した場合、食事内容や運動習慣の違いによって結果は変わる可能性があります。
日本人にも体重減少効果があることを示す貴重なデータではあるものの、「自分が同じだけ痩せる」とは限らないことを理解しておきましょう。
海外データ(SURMOUNT-1試験)の体重減少量
糖尿病のない肥満患者2,539例を対象とした海外のSURMOUNT-1試験では、72週間(約1年半)の投与でより大きな減量効果が確認されました。
5mgで平均−15.0kg(体重の約15%)、10mgで平均−19.5kg(約20%)、15mgで平均−20.9kg(約21%)の体重減少が報告されています。
さらに、15mg群では参加者の半数以上が体重の20%以上の減量を達成したとされており、従来の抗肥満薬にはなかった規模の結果です。
一方で、この試験の被験者は平均体重が約105kgであり、日本人の平均的な体格とは大きく異なります。
もとの体重が重いほど減少量の絶対値は大きくなりやすいため、海外データを参考にする際は「減少率(%)」に注目し、自分の体重に当てはめて目安を計算するのが実用的な方法です。
期間別の目安──1ヶ月・3ヶ月・6ヶ月で体重はどう変わるか
マンジャロによる体重変化は、投与期間によって段階的に進むのが一般的です。
投与開始から1〜2週間で食欲の変化を感じ始め、1ヶ月時点では2〜3kg程度の体重減少がひとつの目安とされています。
3ヶ月が経過する頃には体重の約3〜6%の減少が見られることが多く、見た目の変化を実感し始める時期です。
6ヶ月時点では体重の7〜10%前後の減少が期待でき、臨床データでも減量効果のピークは6〜9ヶ月頃に訪れると報告されています。
ただし、最初の1ヶ月は2.5mgの導入用量で体を慣らす期間であるため、この段階で大きな変化がなくても焦る必要はありません。
5mg以上の維持用量に移行してから本格的な体重減少が始まるケースが多いため、少なくとも3ヶ月は継続したうえで効果を判断するのが望ましいでしょう。
マンジャロで痩せる3つの仕組み
マンジャロが体重減少に効果を発揮する背景には、GIPとGLP-1のデュアル作用による複数のメカニズムが関わっています。
「注射を打つだけで脂肪が消える」といった誤解をされがちですが、実際にはお薬が体の内側から食欲や代謝に働きかけ、自然と摂取カロリーが減少する流れで体重が落ちていく仕組みです。
減量を目指すうえでお薬の作用を正しく理解しておくことは、効果を最大限に引き出すことにもつながります。
ここでは、マンジャロが痩せるメカニズムを3つに分けて解説します。
脳の満腹中枢に働きかけて食欲を抑える
マンジャロの減量効果でもっとも大きな役割を果たしているのが、脳の視床下部にある満腹中枢への作用です。
有効成分チルゼパチドがGLP-1受容体とGIP受容体を同時に刺激することで、脳が「もう十分に食べた」と感じるシグナルが強まります。
その結果、食事の途中で自然と「もういらない」と感じるようになり、無理な我慢を伴わずに食事量が減少する方が多く報告されています。
甘いものや脂っこいものへの欲求が薄れるケースも確認されており、間食やドカ食いを防ぐ効果も期待できるでしょう。
「意志の力で食事を減らす」のではなく「食欲そのものが穏やかになる」という感覚が、マンジャロの大きな特徴です。
胃の動きをゆるやかにして満腹感を持続させる
マンジャロにはGLP-1の作用を通じて、胃から腸への食べ物の移動速度を遅くする「胃内容排出遅延」と呼ばれる効果があります。
通常であれば食後2〜3時間で空腹を感じ始めるところ、マンジャロの作用下では4〜6時間程度にわたって満腹感が持続するとされています。
少量の食事でも長時間満足できるようになるため、次の食事までに間食を挟む頻度が自然と減っていく流れです。
この効果は食欲抑制と合わせて働くことで、1日の総摂取カロリーを無理なく削減する助けになります。
空腹感との戦いが減量の挫折原因になりやすいことを考えると、「お腹が空きにくい状態をつくれる」点はマンジャロの実用的なメリットといえるでしょう。
血糖値を安定させて脂肪の蓄積を防ぐ
マンジャロは食後の血糖値の急上昇(血糖値スパイク)を抑え、穏やかな上昇に変える作用を持っています。
血糖値が急に上がるとインスリンが大量に分泌され、余った糖が脂肪として体に蓄積されやすくなる仕組みが知られています。
マンジャロの作用によって血糖値の変動が穏やかになると、インスリンの過剰分泌が抑えられ、脂肪がたまりにくい体内環境に近づきます。
加えて、GIPの働きによって脂肪のエネルギー利用が促進され、基礎代謝を高める方向にも寄与すると考えられています。
マンジャロで痩せない人の特徴と対処法
マンジャロは臨床試験で高い減量効果が示されているお薬ですが、服用しているすべての方が同じように体重が減るわけではありません。
「思ったほど痩せない」「効果を感じられない」という声も一定数あり、その背景にはお薬以外の要因が関わっているケースが多く見られます。
効果が出にくいと感じたときに自己判断で中止してしまうのはもったいない対応です。
ここでは、マンジャロで痩せにくい人に共通する特徴と、改善のためにできることを解説します。
服用期間が短い・用量が低いまま判断している
マンジャロの効果が出にくいと感じる原因でもっとも多いのが、十分な期間を経ずに「効かない」と判断してしまうパターンです。
最初の4週間は体を慣らすための2.5mgからスタートするため、この段階では大きな体重変化が見られなくても不思議ではありません。
本格的な減量効果が期待できるのは5mg以上の維持用量に移行してからであり、臨床的にも効果の実感には3ヶ月程度の継続が推奨されています。
SNSなどで「1週間で◯kg減った」という情報を目にすると焦りが生まれやすいものの、個人差は大きく、短期間の結果だけで判断するのは適切ではないでしょう。
3ヶ月以上継続しても体重に変化が見られない場合は、医師と相談のうえで増量や他の治療法の併用を検討することが次のステップになります。
食事内容や運動習慣が改善されていない
マンジャロには強力な食欲抑制効果がありますが、お薬だけに頼って生活習慣を変えなければ、十分な減量効果は得られにくいのが実情です。
食欲が落ちたことに安心して「間食は別」「お酒は大丈夫」と油断してしまうと、知らないうちに摂取カロリーが消費カロリーを上回る可能性があります。
また、食事量が減っているにもかかわらず運動を取り入れていない場合は、筋肉量の低下とともに基礎代謝が落ち、かえって痩せにくい体質になるリスクも否定できません。
マンジャロの効果を最大限に活かすには、高たんぱくの食事を意識しながら、ウォーキングや軽い筋力トレーニングを日常に取り入れることが有効です。
お薬はあくまで「食欲と代謝のサポーター」であり、減量の土台は食事と運動の改善にあることを忘れないようにしましょう。
もともと標準体重に近く減少幅が小さい
臨床試験のデータは平均体重が高い集団から得られたものであり、もともと標準体重に近い方が同じ減少幅を期待するのは難しい傾向があります。
体脂肪が少ない状態ではお薬の作用で落とせる脂肪の絶対量が限られるため、数字として「何キロ減った」という実感が得にくくなるのは自然なことです。
BMIが18.5〜22程度の方の場合、体重の数字よりも体脂肪率や体のラインの変化に注目するほうが、正確に効果を把握できるでしょう。
一方、BMIが18.5未満のいわゆる痩せ型の方にはマンジャロの服用自体が推奨されておらず、不必要な体重減少は栄養不足や健康リスクにつながりかねません。
減量が本当に必要な状態なのかどうかも含め、医師に客観的な判断を仰いだうえで治療方針を決めることが重要です。
マンジャロの副作用と注意点
マンジャロは高い効果が期待される反面、副作用のリスクについても正しく理解しておくことが欠かせません。
主な副作用は消化器系の症状であり、とくに投与の初期や用量を増やしたタイミングで出やすいことがわかっています。
多くの場合は体が慣れるにつれて軽減しますが、なかには注意が必要な重篤な症状も報告されています。
ここでは、副作用の種類・対処法・服用できない方について整理します。
主な副作用(吐き気・下痢・便秘・食欲減退)と対処法
マンジャロでもっとも報告頻度が高い副作用は、吐き気・嘔吐・下痢・便秘・食欲減退といった消化器系の症状です。
これらはGLP-1の作用によって胃腸の動きがゆるやかになることが主な原因と考えられており、投与開始直後や増量した直後に出やすい傾向があります。
対処法としては、1回あたりの食事量を少なくして回数を分ける、脂っこい食事を避ける、満腹になったらそれ以上食べないといった工夫が有効です。
多くの方は2〜4週間ほどで症状が落ち着いてくるため、軽度であればそのまま様子を見る形で問題ないケースが大半でしょう。
ただし、症状が強くて食事や水分がほとんどとれない場合や、日常生活に支障をきたすレベルであれば、自己判断で我慢せず早めに医師に相談してください。
重篤な副作用のサインと受診の目安
頻度は高くないものの、マンジャロの服用中に注意すべき重篤な副作用も報告されています。
急性膵炎は代表的なリスクのひとつで、激しい腹痛が持続する場合や背中に突き抜けるような痛みがある場合は直ちに投与を中止し、医療機関を受診する必要があります。
また、食欲が極端に低下した状態が続くと胆汁がうっ滞し、胆石症や胆嚢炎を引き起こすリスクも指摘されています。
低血糖については、マンジャロ単独であればリスクは低いとされていますが、他の糖尿病治療薬と併用する場合は注意が必要です。
「いつもと明らかに違う症状」を感じたら放置せず受診する、という意識を持っておくことが、お薬と安心して付き合っていくうえで大切でしょう。
服用できない方・併用に注意が必要なお薬
マンジャロはすべての方に処方できるわけではなく、服用を避けるべきケースがいくつか存在します。
チルゼパチドに対して過敏症の既往がある方は服用できないほか、膵炎の既往がある方も慎重な判断が求められます。
妊娠中・授乳中の方への処方も推奨されておらず、妊娠を計画している場合は事前に医師へ相談することが必要です。
併用注意のお薬としては、スルホニルウレア薬やインスリン製剤が挙げられ、これらと一緒に服用すると低血糖のリスクが高まるとされています。
現在ほかのお薬を服用中の方は、処方を受ける前に必ず医師や薬剤師にお薬手帳を提示し、飲み合わせの確認をしてください。
マンジャロの費用と処方を受ける方法
マンジャロの効果に興味を持っても、「実際にいくらかかるのか」が見えないと治療に踏み出しにくいものです。
減量目的での処方は自由診療となるため、お薬代は医療機関ごとに異なり、同じ用量でも価格差が生まれやすい状況にあります。
継続が前提の治療である以上、月々の費用を事前に把握しておくことは減量を成功させるうえで欠かせないポイントでしょう。
ここでは、用量別の費用相場と、処方を受ける方法ごとの違い、費用を抑えるコツを解説します。
自由診療の費用相場(用量別の月額目安)
マンジャロの自由診療における費用は、用量が上がるほど高くなる傾向にあります。
2026年2月時点の一般的な相場として、2.5mgは月額約15,000〜20,000円、5mgは月額約25,000〜35,000円が多くの医療機関で設定されている価格帯です。
10mg以上になると月額50,000〜80,000円を超えるケースもあり、半年以上の継続を考えると総額は決して小さくありません。
これらはお薬代のみの金額であり、別途診察料・送料・血液検査料が加算される医療機関も少なくないため、「総額でいくらになるか」を事前に確認しておくことが大切です。
保険診療(2型糖尿病の場合)であれば5mgが3割負担で月額約4,600円程度となるため、自由診療との差は非常に大きいといえるでしょう。
オンライン診療と対面診療の比較
マンジャロの処方を受けるルートは、大きく分けて対面の医療機関とオンライン診療の2つがあります。
対面診療のメリットは、医師が直接体の状態を確認でき、注射の打ち方を実際に指導してもらえる点です。
一方、オンライン診療は自宅から受診できるため通院の手間や交通費がかからず、診察料が無料または低額に設定されている医療機関もあります。
お薬は冷蔵保管が必要なためクール便で配送されるケースが多く、送料が別途かかる場合がある点は事前に確認しておきましょう。
初めてマンジャロを服用する方は、初回だけ対面で注射指導を受け、2回目以降はオンライン診療に切り替えるという方法も選択肢のひとつです。
費用を抑えるための3つのポイント
自由診療で継続するうえで、少しでも費用を抑える工夫を知っておくと長期的な負担が軽くなります。
1つ目は、定期配送プランやまとめ処方の割引を提供している医療機関を選ぶ方法です。
1本ずつ処方を受けるよりも、4本セットなどのまとめ処方のほうが1本あたりの単価が安くなる設定のクリニックが増えています。
2つ目は、初回限定のクーポンやキャンペーンの活用で、数千円〜数万円の割引が適用される場合があるため、処方を受ける前に各医療機関の公式サイトを確認しておくとよいでしょう。
3つ目は、診察料・送料・検査料を含めた「総額」で比較することです。
お薬代だけが安くても、診察のたびに高額な追加費用が発生する医療機関では、結果的に割高になるケースがあるため注意が必要です。
マンジャロをやめたらリバウンドする?中止後の対策
マンジャロの服用を検討している方のなかには、「やめたあとにリバウンドするのでは」という不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。
結論として、中止後に食欲が戻り体重が増加する可能性は否定できません。
しかし、治療中に正しい生活習慣を身につけておけば、急激なリバウンドを防ぐことは十分に可能です。
ここでは、中止後に起こりうる変化と、体重を維持するための具体的な対策を整理します。
中止後に食欲が戻る仕組み
マンジャロを中止すると、GIPとGLP-1の受容体を刺激する作用がなくなるため、お薬によって抑えられていた食欲が徐々に戻っていきます。
脳の満腹中枢への働きかけや胃の排出遅延効果が消失することで、「すぐにお腹が空く」「食事量が以前と同じに戻る」と感じる方が少なくありません。
臨床データでも、投与を中止した群では体重が再増加する傾向が報告されており、とくに自己判断で急にやめた場合にリバウンドのリスクが高まるとされています。
食欲が戻ること自体はお薬の効果が切れた自然な反応であり、「意志が弱いから」ではない点を理解しておくことが大切です。
だからこそ、中止する前の段階からリバウンドを見据えた準備をしておくことが、体重維持のカギになるでしょう。
リバウンドを防ぐための生活習慣づくり
マンジャロの最大の価値は、お薬で食欲が穏やかになっている期間を「生活習慣を変えるための学習期間」として活用できる点にあります。
治療中に少量の食事で満足できる感覚を体に覚えさせ、高たんぱく・低脂質の食事パターンを習慣化しておくと、お薬をやめたあとも食事量のコントロールがしやすくなります。
あわせて、週に2〜3回程度の軽い運動を取り入れて筋肉量を維持しておくことも、基礎代謝の低下を防ぐうえで有効な方法です。
「お薬を使っている間に痩せる」のではなく、「お薬を使っている間に太らない体の習慣をつくる」という意識でいるほうが、長期的な結果につながります。
治療中の食事記録や体重の推移を記録しておくと、中止後に体重が増え始めた際の早期発見にも役立つでしょう。
減量・中止のタイミングは医師と相談する
マンジャロの中止を検討する際にもっとも避けるべきなのは、自己判断で急にやめてしまうことです。
急な中止は食欲の急激な回復を招きやすく、短期間で体重が戻ってしまうリスクが高まります。
医師と相談しながら段階的に用量を減らしていく方法を取ることで、体への負担を小さくしながらお薬を卒業する流れをつくれます。
一般的には、目標体重に到達して3ヶ月程度安定した状態を維持できた段階で減量や中止を検討するケースが多いとされています。
また、中止後も定期的に受診して体重の推移を確認し、必要であれば再開を検討できる体制をとっておくと安心でしょう。
マンジャロは「一生使い続けるお薬」ではなく、「健康的な生活を自分のものにするための橋渡し」として活用するのが理想的な使い方です。
よくある質問
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Q. マンジャロは1ヶ月で何キロ痩せますか?
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投与開始から1ヶ月時点での体重減少は、平均して2〜3kg程度がひとつの目安です。
ただし、最初の4週間は2.5mgの導入用量で体を慣らす期間にあたるため、この段階では食欲の変化を感じても体重計の数字に大きな動きが出ない方も少なくありません。
本格的な減量効果が見え始めるのは5mg以上に増量してからのケースが多く、3ヶ月ほど継続して初めて実感できるという声が一般的です。
1ヶ月の結果だけで「効かない」と判断せず、医師と経過を共有しながら焦らず続けることが減量成功への近道でしょう。
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Q. マンジャロ2.5mgでも減量効果はありますか?
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2.5mgは体をお薬に慣らすための「導入用量」であり、臨床的には本格的な効果が期待される維持用量は5mg以上とされています。
一方で、もともと標準体重に近い方や軽度の肥満の方であれば、2.5mgの段階でも食欲抑制を実感し、数キロの体重減少につながったという報告もあります。
実際のクリニックでも、2.5mgのまま4ヶ月で約8kgの減量に成功した症例が紹介されており、肥満度が高くない方には十分な効果を発揮する場合があるようです。
効果の出方は体質や生活習慣によって個人差が大きいため、自己判断で増量を急ぐのではなく、医師と相談しながら最適な用量を見極めていくことが大切でしょう。
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Q. マンジャロとリベルサスはどちらが痩せますか?
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臨床試験のデータを比較すると、マンジャロのほうがリベルサスよりも体重減少効果は高い傾向にあります。
マンジャロはGIPとGLP-1の2つの受容体に作用するのに対し、リベルサスはGLP-1のみに作用する飲み薬であり、作用メカニズムの範囲に違いがあることが背景にあるとされています。
一方、リベルサスには「注射が不要で毎日の服用で続けられる」「月額の費用がマンジャロより低い」という利点があり、手軽に始めたい方にとっては魅力的な選択肢です。
最終的にはご自身の体質やライフスタイルに合うかどうかを医師と相談して決めるのがよいでしょう。
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Q. マンジャロは保険適用で処方してもらえますか?
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マンジャロが保険適用となるのは、2型糖尿病の治療目的で医師が処方する場合に限られます。
保険適用の条件を満たすには、食事療法や運動療法をおこなったうえで血糖コントロールが不十分であると医師が判断することが必要です。
「体重を減らしたい」「見た目を変えたい」という減量・美容目的では保険の対象外となり、お薬代・診察料・検査料を含めたすべての費用が全額自己負担の自由診療になります。
自由診療の費用相場は2.5mgで月額15,000〜20,000円前後、5mgで月額25,000〜35,000円前後が一般的であるため、継続期間を見据えた資金計画を立てておくことが大切でしょう。
まとめ
マンジャロ(チルゼパチド)は、GIPとGLP-1の2つの受容体に同時に作用する世界初の注射薬であり、従来のGLP-1製剤を上回る体重減少効果が臨床試験で示されています。
日本人を対象とした試験では52週間で5mg−5.8kg・10mg−8.5kg・15mg−10.7kgの減少が報告されており、海外の肥満患者を対象とした試験ではさらに大きな数字が確認されました。
ただし、海外データの被験者は平均体重100kg超であるため、日本人がそのまま同じ結果を期待するのは現実的ではなく、「減少率(%)」を自分の体重に当てはめて目安を考えることが重要です。
効果を最大限に発揮させるには、最低3ヶ月の継続と、食事・運動の見直しをお薬と並行して進めていく姿勢が欠かせません。
副作用は消化器系の症状が中心で多くは一過性ですが、急性膵炎や胆石症といった重篤なリスクもゼロではないため、定期的な医師の診察のもとで服用することが大前提となります。
中止後のリバウンドを防ぐには、お薬で食欲が穏やかになっている期間を「太らない生活習慣を身につけるための学習期間」として活用する意識が大切でしょう。
マンジャロは「打つだけで痩せる魔法の注射」ではなく、医師のサポートと生活改善を組み合わせてこそ本来の力を発揮するお薬です。
参考文献
[1] 日本イーライリリー株式会社「マンジャロ皮下注アテオス 添付文書」 https://www.info.pmda.go.jp/go/pack/3969049G1024_1_10/
[2] Jastreboff AM, et al. “Tirzepatide Once Weekly for the Treatment of Obesity.” New England Journal of Medicine, 2022;387(3):205–216.(SURMOUNT-1試験) https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2206038
[3] Inagaki N, et al. “Efficacy and safety of tirzepatide monotherapy compared with dulaglutide in Japanese patients with type 2 diabetes (SURPASS J-mono).” Diabetes, Obesity and Metabolism, 2023. https://dom-pubs.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/dom.14947
※本記事の内容は一般的な情報提供を目的としたものであり、医療アドバイスではありません。
お薬の服用に関しては必ず医師にご相談ください。
※効果・効能・副作用の現れ方は個人差がございます。
※医師の判断によりお薬を処方できない場合があります。