健康診断で「中性脂肪が高い」と指摘され、どうすれば数値を下げられるのか気になっていませんか?
中性脂肪が高いと言われても自覚症状がないことが多く、具体的に何を変えればよいのかわからないまま放置してしまう方は少なくありません。
しかし、中性脂肪が高い状態が続くと、動脈硬化が進行し、心筋梗塞や脳梗塞といった命に関わる病気のリスクが高まることがわかっています。
一方で、中性脂肪は食事と運動の見直しによって比較的早い段階で改善が期待できる数値でもあります。
この記事では、中性脂肪が高くなる原因から、食事・運動・医療機関での治療まで、数値を下げるための具体的な対策を幅広く解説します。
そもそも中性脂肪とは|基準値と数値の見方
中性脂肪はトリグリセリド(TG)とも呼ばれ、血液中に存在する脂質の一種です。
食事から摂取したエネルギーのうち、すぐに使われなかった分が肝臓で中性脂肪に合成され、皮下脂肪や内臓脂肪として体に蓄えられます。
体を動かすエネルギー源として欠かせない存在ですが、多すぎると肥満や生活習慣病の原因となります。
中性脂肪の役割と高くなる仕組み
中性脂肪は、糖質によるエネルギーが不足したときに代わりのエネルギー源として使われる大切な物質です。
さらに、皮下脂肪となって体温を保持したり、内臓を外部の衝撃から守ったりする役割も担っています。
しかし、食事で摂取したエネルギーが消費量を上回ると、余った分が肝臓で中性脂肪に変換されて体内に蓄積されていきます。
とくに注目したいのは、中性脂肪が増える原因は脂っこい食事だけではないという点です。
炭水化物(糖質)を多く摂ると血糖値が上がり、それを下げるためにインスリンが大量に分泌されますが、余った血糖はインスリンの作用で中性脂肪に変換されてしまいます[1]。
中性脂肪の正体は「体内で余ったエネルギー」であり、糖質の摂りすぎも大きな要因であることを知っておくとよいでしょう。
基準値と数値別のリスク段階
中性脂肪の基準値は、10時間以上の絶食後(空腹時)に測定した場合で150mg/dL未満とされています[2]。
食後を含む随時採血では175mg/dL以上が脂質異常症の判断基準となり、空腹時と食後で基準が異なる点に注意が必要です。
数値別のリスク段階としては、150〜299mg/dLでは食事や運動の見直しによる生活習慣改善が中心になります。
300〜499mg/dLになると、高血圧や糖尿病などの合併症がある場合には薬物療法が検討されることがあるでしょう。
500mg/dL以上では急性膵炎を発症するリスクが急激に高まるため、速やかな薬物治療が必要とされています。
中性脂肪とコレステロールの違い
健康診断の結果には中性脂肪とコレステロールの両方が記載されていますが、この2つは異なる役割を持つ脂質です。
中性脂肪はエネルギーの貯蔵に使われる脂質であり、食事や飲酒の影響を受けて短期間で数値が変動しやすい特徴があります。
一方、コレステロールは細胞膜やホルモンの材料として使われる脂質で、LDL(悪玉)とHDL(善玉)に分けられます。
中性脂肪が高い状態はHDLコレステロール(善玉)を減らし、小型の悪玉LDLを増やすことで、間接的に動脈硬化を促進することがわかっています。
中性脂肪とコレステロールはそれぞれ別の対策が必要であり、両方の数値をバランスよく管理することが健康維持のポイントです。
中性脂肪が高くなる5つの原因
中性脂肪が高くなる背景には、日常的な生活習慣の積み重ねがあります。
「食べすぎ」「飲みすぎ」「運動不足」といった代表的な要因に加え、ストレスや加齢による体の変化も影響しています。
原因を正しく理解することで、どの生活習慣を優先的に見直すべきかが明確になるでしょう。
糖質(炭水化物)の摂りすぎ
中性脂肪が高い方の食事を振り返ると、脂質よりも炭水化物の摂取量が多いケースがしばしばみられます。
白米・パン・麺類・菓子類などに含まれる糖質は、体内でブドウ糖に分解されてエネルギー源として使われます。
しかし、一度に大量の糖質を摂ると血糖値が急上昇し、それを下げるために膵臓からインスリンが大量に分泌されることになります[1]。
インスリンは余った血糖を中性脂肪に変換して脂肪細胞にため込む働きを持っているため、糖質の摂りすぎが中性脂肪の上昇に直結します。
とくに丼もの・麺類だけの単品食事は炭水化物に偏りやすく、血糖値が急激に上がりやすい食べ方といえます。
炭水化物を完全になくす必要はありませんが、量を適度に調整することが中性脂肪の改善には効果的でしょう。
脂質の摂りすぎと食事バランスの偏り
揚げ物や脂身の多い肉、バターやマーガリンなど、脂質の多い食品の摂取量が多いことも中性脂肪を上げる原因のひとつです。
とくに飽和脂肪酸やトランス脂肪酸を多く含む食品は、肝臓での中性脂肪の合成を活発にすることが指摘されています。
加えて、甘い清涼飲料水やジュース類もカロリーが高く、血糖値を急上昇させるため中性脂肪の増加に直結しやすい飲み物です。
食事のバランスとしては、たんぱく質・脂質・糖質の三大栄養素をバランスよく摂ることが推奨されています。
1日に必要なエネルギー量は活動量の少ない女性で1,400〜2,000kcal、男性で2,000〜2,400kcal程度とされており、この範囲内で食事を組み立てることが目安になります[2]。
間食の習慣がある方は、1日100〜200kcal以内に抑えることを意識すると、中性脂肪の改善につながりやすくなります。
アルコールの過剰摂取
アルコールは中性脂肪を上げる大きな要因のひとつであり、飲みすぎると肝臓での脂肪合成が促進されると同時に、脂肪の分解が妨げられます。
適量のアルコールにはHDLコレステロール(善玉)を増やす効果があるとされていますが、その適量を超えると中性脂肪を増やす方向に作用してしまうのです。
1日の適量の目安は、日本酒1合(180mL)=ビール中瓶1本(500mL)=焼酎原液100mL=ウイスキーダブル1杯(60mL)=ワイングラス約1杯(200mL)とされています[3]。
さらにアルコールには食欲を増進させる作用があり、お酒を飲んでいるとつい揚げ物や味の濃いおつまみを食べすぎてしまうことも問題です。
純アルコール量は「摂取量(mL)×アルコール度数×0.8」の計算式で求められるため、普段の飲酒量を一度計算して確認してみるとよいでしょう。
週単位で飲酒量を把握し、少しずつ減らしていくことが現実的な改善策です。
運動不足と基礎代謝の低下
食事で摂取したエネルギーが十分に消費されないと、余った分が中性脂肪として体に蓄積されていきます。
運動不足の方はエネルギー消費量が少ないため、食事量が多くなくても中性脂肪が高くなりやすい傾向があるでしょう。
さらに30代以降は加齢にともなって基礎代謝が低下するため、以前と同じ食生活でもエネルギーが余りやすくなります。
1日の目標歩数を達成していない方は、達成している方に比べて中性脂肪が異常値である割合が1.59倍高いというデータも報告されています[3]。
この数値からもわかるように、日常的な身体活動の量は中性脂肪の値に直接影響を与える要因です。
特別な運動の時間がとれない方でも、歩く量を少し増やすだけで中性脂肪の改善効果が期待できます。
ストレス・睡眠不足・加齢の影響
ストレスが溜まると、過食に走って中性脂肪が上がりやすくなるだけでなく、体の内部でも変化が起きています。
過剰なストレスを受けるとインスリンの血糖値を下げる働きが低下し、結果として中性脂肪の値にも悪影響を及ぼすことがわかっています。
睡眠不足も食欲を増進させるホルモン(グレリン)を増やし、満腹感を伝えるホルモン(レプチン)を減らすため、食べすぎの原因となるでしょう。
加齢については、年齢とともに基礎代謝が落ちることに加え、女性は閉経後にホルモンバランスの変化で脂肪がつきやすくなることが知られています。
これらの要因は食事や運動と比べて自分でコントロールしにくい面がありますが、ストレスの発散方法を見つけることや睡眠の質を改善することは可能です。
生活全体を見渡して、自分にとって改善しやすいポイントから取り組んでいくことが大切でしょう。
中性脂肪が高いまま放置するとどうなるか
中性脂肪が高い状態でも、日常生活で体の不調を感じることはほとんどありません。
自覚症状がないからこそ放置されやすいのですが、高い状態が長期間続くと、血管や臓器に深刻なダメージが蓄積されていきます。
とくに動脈硬化は「サイレントキラー」とも呼ばれ、気づかないうちに進行し、ある日突然重大な病気を引き起こす可能性があります。
動脈硬化から心筋梗塞・脳梗塞へのリスク
中性脂肪が高い状態が続くと、血管の内側に脂肪が蓄積されやすくなり、動脈硬化が進行します。
動脈硬化とは、血管の壁が厚く硬くなって柔軟性を失った状態のことであり、血液の流れが悪化する原因となります。
心臓に血液を送る冠動脈で動脈硬化が進むと、胸の痛みや圧迫感をともなう狭心症の症状があらわれ、さらに悪化すると心筋梗塞に至る危険性があるでしょう[1]。
同様に、脳の血管が狭くなったり詰まったりすると脳梗塞を引き起こし、後遺症や命に関わる事態につながることもあります。
中性脂肪は単独でも動脈硬化を進めますが、HDLコレステロール(善玉)を減らし、とくに悪質とされる小型LDLコレステロールを増やすことで、間接的にもリスクを高めます。
健康診断の数値を軽視せず、早い段階から対策に取り組むことが将来の重大な病気を防ぐ鍵です。
脂肪肝と肝機能への影響
中性脂肪が高い状態が続くと、肝臓に脂肪が過剰に蓄積されて脂肪肝になるリスクが高まります。
脂肪肝は自覚症状がほとんどないため見過ごされやすい疾患ですが、放置すると肝臓の炎症(肝炎)や肝硬変へと進行する可能性があります[1]。
さらに進行した場合には肝臓がんにつながるケースもあるため、決して軽視できない状態です。
肝臓は体内のエネルギー変換や解毒を担う重要な臓器であり、その機能が低下すると全身の代謝にも悪影響が及びます。
健康診断の肝機能検査(AST・ALT・γ-GTPなど)の値が上昇している場合は、脂肪肝の可能性を疑うサインといえるでしょう。
中性脂肪の値と合わせて肝機能の数値も確認し、異常があれば早めに医療機関で精密検査を受けることをおすすめします。
500mg/dL以上で急性膵炎のリスクが急増する
中性脂肪の値が500mg/dLを超えると、急性膵炎を発症するリスクが急激に高まることが知られています[2]。
急性膵炎は激しい腹痛をともなう疾患であり、重症化すると臓器不全を引き起こし、命に関わることもある深刻な病気です。
膵臓は消化酵素を分泌する臓器ですが、中性脂肪が極端に高い状態では膵臓の細胞が障害を受けやすくなるため、炎症が起きやすくなります。
中性脂肪が500mg/dL以上の場合には、生活習慣の改善だけでなく、速やかに薬物療法を開始することがガイドラインでも推奨されています。
一方で、150〜499mg/dLの範囲であれば、まず食事や運動の見直しで改善を図ることが基本的なアプローチです。
数値が高い方ほど対策の緊急性も増すため、ご自身の数値を正確に把握し、必要に応じて医師に相談しましょう。
中性脂肪を下げる食事の工夫
中性脂肪の値を改善するうえで、食事の見直しはもっとも基本的で効果の大きい対策です。
中性脂肪は食事の影響を受けやすい脂質であり、食べるものや食べ方を少し変えるだけでも数値に変化があらわれやすい特徴があります。
大切なのは「何を控え、何を積極的に摂り、どのように食べるか」の3つの視点です。
控えたい食品と置き換えのポイント
中性脂肪を下げるためにまず見直したいのは、糖質と脂質を多く含む食品の摂取量です。
白米・食パン・うどんなどの精製された炭水化物は血糖値を急上昇させやすいため、玄米や雑穀米、全粒粉パンなど食物繊維の多いものに置き換えると効果的でしょう。
揚げ物は頻度を減らし、「蒸す」「ゆでる」「焼く」といった調理法に切り替えることで、脂質の摂取量を無理なく抑えられます。
甘いジュースや清涼飲料水もカロリーが高く血糖値を急上昇させるため、お茶や水に切り替えることが望ましい対策です。
菓子類や甘い飲み物をやめることが難しい方は、まず飲み食いしたものをすべて記録してみると「これは無くてもいい」と思えるものが見つかることがあります。
「今日はひとつだけ置き換えてみる」という小さな積み重ねが確実な改善につながるでしょう。
積極的に摂りたい食品|青魚・食物繊維・大豆製品
中性脂肪を下げる効果が期待できる食品として、まず挙げられるのが青魚です。
サバ・イワシ・サンマ・アジなどの青魚には、EPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)と呼ばれるオメガ3脂肪酸が豊富に含まれています[2]。
これらの成分は肝臓での中性脂肪の合成を抑える働きを持ち、血液をサラサラにする効果も期待されています。
食物繊維が豊富な野菜・海藻・きのこ類も、糖質や脂質の吸収をゆるやかにして血糖値の急上昇を防ぐ助けになるでしょう。
大豆製品(豆腐・納豆・味噌など)は良質なたんぱく質源であり、肉の代替として取り入れることで動物性脂質の摂取を抑えることができます。
たんぱく質は体重1kgあたり1g程度を毎日摂ることが推奨されており、肉・魚・卵・大豆製品をバランスよく組み合わせることが理想的です。
食べ方の工夫|食べる順番・よく噛む・食前の水
食べるものだけでなく、食べ方を工夫することでも中性脂肪の値は改善しやすくなります。
もっとも手軽な方法は、食事の最初に野菜や海藻などの食物繊維を摂る「ベジファースト」の習慣です。
食物繊維を先に食べることで糖質や脂質の吸収がゆるやかになり、血糖値の急上昇を抑えることができます。
「食べる速度が速い人は遅い人に比べて中性脂肪の異常値リスクが1.28倍高い」というデータも報告されています[3]。
満腹を感じるまでにはおよそ15分かかるため、一口30回以上を目安にゆっくり噛むことを心がけましょう。
食前に水を飲むことで中性脂肪が低下したという研究報告もあり、朝食の30分前にコップ1杯の水を飲む習慣から始めてみるのもひとつの方法です。
中性脂肪を下げる運動の工夫
食事の見直しに加えて、運動を取り入れることで中性脂肪の改善効果はさらに高まります。
運動には、脂肪を直接燃焼させる効果と、基礎代謝を上げて日常的にエネルギーを消費しやすい体をつくる効果の両方があります。
ただし、運動習慣のない方がいきなりハードなトレーニングを始めると体への負担が大きいため、段階的に取り組むことが重要です。
有酸素運動の効果と具体的な目安
中性脂肪を下げるうえでもっとも効果的とされているのが、有酸素運動です。
ウォーキング・ジョギング・水泳・サイクリングなど、息が軽く弾む程度の運動を一定時間続けることで、体は脂肪をエネルギー源として使い始めます。
週150分以上の有酸素運動を継続すると、中性脂肪が平均で約13〜15mg/dL低下するという研究データが報告されています[3]。
理想的な運動の強さは「少し息が上がるけれど会話ができる」程度であり、1回あたり30分以上、週に3〜5回の頻度でおこなうことが目安です。
運動習慣がまったくない方は、まず1日5〜10分の軽いウォーキングから始め、徐々に時間を延ばしていくとよいでしょう。
大切なのは短期間の集中ではなく、無理のないペースでの継続です。
筋力トレーニングで基礎代謝を上げる
有酸素運動と組み合わせて取り入れたいのが、筋力トレーニングです。
有酸素運動には「運動中に脂肪を燃やす」効果がありますが、筋力トレーニングには「基礎代謝を高めて脂肪が燃えやすい体をつくる」という異なるメリットがあります。
基礎代謝は筋肉量が多いほど高くなりますが、有酸素運動だけでは筋肉を増やすことは難しいため、筋力トレーニングが必要です。
とくに大臀筋(おしり)や大腿四頭筋(太もも前面)などの大きな筋肉は全身の筋肉のおよそ50%を占めており、これらを鍛えることが効率的でしょう。
自宅で手軽にできるスクワットは、下半身の大きな筋肉を同時に刺激できるため、更年期世代やシニア世代にもおすすめのトレーニングです。
10回を1〜2セットから始め、無理のない範囲で少しずつ回数を増やしていくことで、基礎代謝の維持・向上が期待できます。
日常生活のなかで活動量を増やすコツ
まとまった運動の時間を確保するのが難しい方でも、日常生活のなかで活動量を増やす工夫は可能です。
通勤や買い物の際にひと駅分歩く、エレベーターではなく階段を使う、テレビのCM中にストレッチをするなど、ちょっとした行動の積み重ねが効果につながります。
男性は1日9,000歩、女性は1日8,500歩が目標歩数とされていますが、まずは今より2,000歩(約20分のウォーキング)多く歩くことを意識するだけでも違いが出てきます。
座りっぱなしの時間が長い方は、30分〜1時間ごとに立ち上がって体を動かすことも中性脂肪の改善に効果的です。
「運動しなければ」と気負うよりも、「今より少しだけ動く」という意識が長続きの秘訣といえるでしょう。
数値が高い場合の医療機関での治療
食事や運動を見直しても中性脂肪の数値が十分に下がらない場合や、数値が著しく高い場合には、医療機関での治療が必要になることがあります。
中性脂肪に対するお薬は、コレステロールを下げるお薬とは種類が異なる点が特徴です。
サプリメントや漢方薬のように、医療用医薬品以外の選択肢も存在します。
薬物療法が検討される目安
中性脂肪に対する治療の基本は、まず生活習慣の改善です。
数値が300mg/dL未満であれば、食事療法と運動療法を3〜6ヶ月間しっかり実践することで改善が期待できるケースが多いとされています[2]。
300〜499mg/dLの場合は、脂肪肝・高血圧・糖尿病・肥満・喫煙といった合併症の有無を考慮したうえで、薬物療法の導入が検討されます。
500mg/dL以上では急性膵炎のリスクが急激に高まるため、生活習慣の改善と並行して速やかな薬物治療が推奨されるでしょう。
ただし、遺伝的な要因で中性脂肪が高い方(家族性高脂血症など)は、生活習慣の改善だけでは十分な効果が得られないこともあります。
数値の高さだけでなく、年齢・性別・既往歴・合併症を総合的に評価したうえで医師が治療方針を判断するため、気になる方は早めに相談することが大切です。
中性脂肪を下げるお薬の種類と特徴
中性脂肪を下げるお薬にはいくつかの種類があり、患者さんの状態に応じて使い分けられます。
現在、中性脂肪を下げる目的でもっとも広く使われているのが、選択的PPARα調節薬であるペマフィブラート(パルモディア)です[2]。
従来のフィブラート系薬と比べてスタチン(コレステロールを下げるお薬)との併用が可能であり、腎機能が低下した方にも使いやすい特徴があります。
EPA・DHA製剤(ロトリガなど)は魚油由来の成分で、中性脂肪を下げるだけでなく血液をサラサラにする効果も期待できるお薬です。
従来のフィブラート系薬(ベザトール・リピディルなど)も中性脂肪を下げる効果がありますが、スタチンとの併用で横紋筋融解症のリスクがあるため注意が必要でしょう。
いずれのお薬も生活習慣の改善と併用して使うことが基本であり、お薬だけに頼らず食事や運動の見直しを続けることが重要です。
漢方薬やサプリメント(EPA・DHA)の活用
医療用医薬品以外にも、漢方薬やサプリメントを活用して中性脂肪の管理をサポートする方法があります。
漢方薬では、食べすぎや便秘がちな方には防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)、ストレスによる過食やイライラが強い方には大柴胡湯(だいさいことう)が用いられることがあります。
これらの漢方薬は脂質代謝を高め、余分な脂肪の分解・燃焼を助ける効果が期待されています。
サプリメントとしてはEPAやDHAを含む製品が広く市販されており、手軽に始められる方法として人気があるでしょう。
ただし、EPAには血液が固まりにくくなる作用があるため、1日3g以上の大量摂取には注意が必要です。
サプリメントや漢方薬はあくまで補助的な位置づけであり、医療機関での定期的な検査と生活習慣の改善を基本としたうえで活用することが望ましいでしょう。
よくある質問
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Q. 中性脂肪はどのくらいの期間で下がりますか?
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中性脂肪は食事や飲酒の影響を受けやすい脂質であり、生活習慣の改善によって比較的早く数値に変化があらわれることが特徴です。
食事内容の見直しや禁酒を徹底した場合、早い方では2〜4週間程度で数値の低下がみられるケースもあります。
ただし、安定した改善を目指すには3〜6ヶ月程度の継続が目安です。
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Q. お酒をやめなくても中性脂肪は下がりますか?
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完全に禁酒しなくても、飲酒量を適量に抑えることで中性脂肪の改善は可能です。
1日の適量は日本酒1合=ビール中瓶1本=ワイングラス約1杯が目安とされています。
おつまみを揚げ物から枝豆や豆腐に変える、休肝日を週に2日以上設けるといった工夫も効果的でしょう。
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Q. 中性脂肪が高いのに痩せているのはなぜですか?
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体型がやせ型であっても、食事の内容や体質によっては中性脂肪が高くなることがあります。
糖質やアルコールの摂取量が多い方、遺伝的に脂質代謝がうまく機能しにくい体質の方は、見た目にかかわらず中性脂肪が基準値を超えることがあるでしょう。
体型にかかわらず、健康診断の数値を定期的に確認することが大切です。
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Q. 中性脂肪と悪玉コレステロールは両方高いと危険ですか?
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中性脂肪とLDLコレステロール(悪玉)の両方が高い状態は、動脈硬化の進行リスクがとくに高いとされています。
中性脂肪が高い状態はHDLコレステロール(善玉)を減らし、小型の悪玉LDLを増やすことで動脈硬化をさらに促進させます。
両方の数値が高い場合はメタボリックシンドロームに該当する可能性もあるため、早めに医療機関で総合的な検査と治療方針の相談を受けましょう。
まとめ
中性脂肪は体にとって必要なエネルギー源ですが、増えすぎると動脈硬化・心筋梗塞・脳梗塞・脂肪肝・急性膵炎など、さまざまな病気のリスクを高めます。
中性脂肪が高くなる主な原因は、糖質や脂質の摂りすぎ・アルコールの過剰摂取・運動不足・ストレスや睡眠不足です。
食事では、精製された炭水化物や揚げ物を控え、青魚・食物繊維・大豆製品を積極的に取り入れることが効果的でしょう。
運動では、有酸素運動と筋力トレーニングを組み合わせ、週150分以上を目安に取り組むことが推奨されています。
中性脂肪は食事と運動の影響を受けやすい数値であるため、生活習慣の見直しで比較的早い段階での改善が期待できます。
生活習慣の改善だけでは数値が十分に下がらない場合は、医療機関でペマフィブラートやEPA製剤などの薬物療法について相談しましょう。
健康診断で指摘を受けた方は放置せず、まずは「ほんの少しの生活習慣の変化」から取り組んでいくことが大切です。
参考文献
[1] 厚生労働省 e-ヘルスネット「脂質異常症」 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/metabolic/m-05-004.html
[2] 日本動脈硬化学会「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」 https://www.j-athero.org/jp/general/guideline/
[3] 厚生労働省「健康日本21(第三次)」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kenkounippon21.html
※本記事の内容は一般的な情報提供を目的としたものであり、医療アドバイスではありません。
※効果・効能・副作用のあらわれ方は個人差がございます。
※医師の判断によりお薬を処方できない場合があります。